弊店では、スーツやシャツのほかネクタイのオーダーも承っております。
生地を選び、お好みや体型に合わせて採寸をし、長さや幅(太さ)、裏地・芯地の仕様や有無を選び、お客様の一本をお仕立ていたします。
と、ここまではこのブログを読んでいるTailor Armoryファン(?)なら周知の事実だと思います。
オーダーメイドであれば当然「オリジナルネクタイ」なのですが何故そこを強調するかというと、
今回は生地の企画から行ないご希望に沿った生地を織り、ネクタイ(とスカーフ)を製作させていただいたからです。
ことの発端は9月頃、懇意にしていただいているお客様からのインスタDMでした。
「ネクタイのオーダーをしたいという方に紹介しておきました!」というご連絡を頂戴し、その翌日には早速ご本人からDMをいただき、数日後にご来店いただきました。
※弊店のご新規様のきっかけは、ご紹介とInstagram経由で約半分を占めます。
この時点では私は、通常フローにのっとり生地をお選びいただきネクタイをお仕立てすればいいのだと考えていました。
さてお越しいただき、オーダーネクタイ用の生地など見ていただきながらご要望をお聞きすると、
・所属する団体のメンバーでお揃いのネクタイ(&スカーフ)21点
・ベースは青系でありながら、赤や黄など5~6色以上の多色使いで多様な人材の調和をグラデーション的に表現
・完成納品が今年中
ということで、
まず色使いの点で弊店でご用意しているネクタイ用生地(常時100種類以上はあります)の中にはなく、生地屋さんなどをまわって探すことになりました。
多色使いの生地自体が少ない中で、よしんばあったとしても21点作成できるだけの在庫奥行がなくてはいけません。
何社か取引のある生地商社やネクタイ縫製業者をあたりましたがご要望にかなうものはなく、発注から製作にかかる期間も考えるとタイムリミットも迫ってくる中で、「もうイチから生地を織った方が早いのでは・・」と考えるに至りました。
スーツやシャツならいざ知らず、ネクタイを生地の企画から行なうとなると私としても未知の領域です。ましてスカーフもです。
1点あたり生地は何m必要なのか、適している生地感は、といったところからネクタイメーカーとのやり取りを始めました。
ただお客様のご要望がはっきりしていましたので、生地の色合いや織りの具合い、サイズなどそれぞれの案のキャッチボールは比較的スムーズに進みました。
最終的に12月半ばには完成して納品することができ、年明け新しい期のスタートから着用するというニーズにも間に合わせられホッといたしました。
お客様との当初の折衝の中で弊店にたどり着いた経緯を伺うと、
「いつも頼んでいるテーラーに相談してみたが、オーダーネクタイはやっていないと言われた。」と仰せでした。
弊店ではもちろんオーダーネクタイはやっていますが、今回のように生地からオリジナルで織るのは初めてのことでした。
他で断られたという話を持ってきてくださるのは非常にありがたいことです。
もちろんそれは弊店が受けても難しい仕事になるのは間違いないんですが、
「ここならやってくれるかも」と思って足を運んでくださっているのを断っちゃあ、男がすたるってもんでしょう。