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大阪肥後橋のTailor Armory

Tailor Armory

スーツの保管とクリーニングについて

皆様こんにちは。肥後橋の小さな仕立屋Tailor Armoryの森田です。

仕立て上がりお渡し時などにお客様とお話していて、「クリーニングってどのぐらいの頻度で出したらいいんですか?」と訊かれることがあります。

またつい先日は、「クリーニングに出すとラペル(ジャケットの衿)がペタッと寝てしまって帰ってくる。どうするのがいいだろう。」というお話も頂戴しました。

皆様、スーツはどのぐらいの頻度でクリーニングに出されていますか?半年に一回、シーズンが切り替わるタイミングで出される方が多いのでしょうか。

滅多に着ない方でしたら、一度着たら出す方もいるかもしれません。

どのぐらいの頻度でクリーニングに出すのが正解なのか、オーダーメイドで購入したスーツならなおさら、気になるところですよね。

誤解を恐れず言わせていただくと、

クリーニングに出す必要はありません。

お酒をこぼしたとか、見てわかる汚れや染みがついた時以外は。

マンガ「王様の仕立て屋」6巻(大河原遁・著/集英社・発行)にわかりやすく描かれていましたので、載せさせていただきます。

オーダーメイドであるか否かにかかわらず、およそ上質なスーツはウールやモヘヤ、カシミヤなどの天然素材で作られています。

これらは化学繊維であるポリエステルとは違い「呼吸」するので、蒸散作用があります。

人は一日にコップ一杯分の汗をかくと言われますが、通気性のいい場所で一日半ほど置いておくことで汗は抜けていきます。

一日着たら二日休ませてください、と私が口うるさく言うのはこのためです。

また、ウール素材には復元作用もありますので、この際にハンガーに正しくかけていれば着用によって二の腕や肘のあたり、膝裏などに生じたシワは消えます。

肩があり、パンツのクリース(折り目)を潰さないように挟んでかけることができるハンガーが必要ですが、弊店ではこういうタイプのハンガーにかけてお渡しするのでご安心ください。

また、埃がかからないようにという意図なのかナイロンのガーメントバッグに入れたまま保管する方がいますが、これもいけません。呼吸を妨げてしまう上に、湿気がたまります。ガーメントバッグはあくまで運搬用です。

着用間隔を守り、正しいハンガーにかけ、クローゼット内にぎゅうぎゅう詰めにならないようにして通気性を確保し、虫がつかないよう着用前後にブラッシングして埃を落とせば、

元よりクリーニングに出す必要性が生まれません。

もちろんそれでも経年劣化は避けられませんが、クリーニングすることによる傷みと天秤にかければ、どっこいどっこいじゃないかと思っています。

だったら出さない方が、コストも手間もかからなくていいですよね。

仕立ててから5年は経っているスーツですが、私の記憶が正しければ一度もクリーニングには出していません。

ちょうどいい写真がありませんでしたが、10年近く着ているものでも出したことがないものもあります。

私がこういう話をするとビックリされることがあります。ウォッシャブルスーツでもない限り、「クリーニングに出すもの」と思われている方が大多数なのかもしれません。

そもそも何故こういう誤解が生じるのかというと、紳士服業界とクリーニング業界の長年の絡みがあると思っているのですが、、その辺の話はご来店いただければ直接お話いたします・・。

【年末年始について】Tailor Armoryは、2021年12月29日~2022年1月3日の期間をお休みとさせていただきます。あしからずご了承ください。