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大阪肥後橋のTailor Armory

Tailor Armory

仕立て映えする生地とは

皆様こんにちは。肥後橋の小さな仕立屋Tailor Armoryの森田です。

The Whoを聴きながらこのブログを書いています。

今日はとても暖かく、出勤前のルーティンで毎朝店の一番近くの自販機で買うコーヒーも、今年初めてのアイスにしました。

店内で自分で淹れて飲むコーヒーは、結局ホットにしていますが(笑)

さて、タイトルの通り本日は、仕立て映えする生地という、この何だかよくわからない言葉について書いてみようと思います。

インスタ映えではなく仕立て映えです。

10年以上前に私が紳士服業界に入ったころ、

「イタリア生地はツヤ・光沢があって高級感が出る。着心地もいい。その代わりシワになりやすかったり耐久性の面で弱いことがある。」

「英国生地は武骨な雰囲気で光沢などはあまりないが、仕立て映えする。シワになりにくく、硬いぶん耐久性もいい。」

という風に教わったことを覚えています。(イタリア・英国生地すべてに当てはまるわけではなくあくまで一例です)

21歳くらいの私は、「ふーんそうなんですね(仕立て映えってなんやねん)」となり、「英国生地は光沢がないんだな、だから高級そうに見えないのか、、」なんて思っていたような気がします(笑)

その後、社員研修で舟をこいでいた私も店頭で延べ数百人?千人?のお客様の担当をさせていただき、自身のスーツやジャケットも40着くらいは仕立てて着てきて、最近やっと「仕立て映え」ってこういうことなのかな、ということをおぼろげにでも考えるようになりました。

仕立て映えするとは言葉の通り、生地の状態で見るより仕立て上がったときによく見えるということなのですが、つまり余計なシワやヨレがなく、シルエットが綺麗に出ている状態だと思います。

ではなぜ英国生地に仕立て映えするものが多いのかというと、硬くてシワになりにくいという部分がミソな気がします。

原毛の違いや織り方の違いなどは脇に置いておいて、

手縫いであれミシン縫製であれ行なうのは人間ですので、滑らかで柔らかい生地より硬くてシワになりにくい生地のほうがヨレずに縫いやすく、仕立て上がりも綺麗になるのは道理です。

これは、何種類もの生地で同じサイズで仕立てるサンプル品の場合に、それらをトルソーに着せた時に違いが顕著に出ます。

トルソーに身体のクセはなく動くこともないので、体の動きに合わせて光に反射して見える生地の光沢も、着心地の良し悪しも関係ないからです。

ちなみに弊店の店頭には現在スーツを着せたトルソーが6体ありますが、それらの半分は英国生地で仕立てています。ご来店の折は、どれが英国生地のものか、当ててみてください。なんの特典もありませんが(笑)

私自身は、英国生地・イタリア生地のもの半々くらいの割合で持っていますが、英国生地に好きなものが多い気がします。