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大阪肥後橋のTailor Armory

Tailor Armory

スーツの生地と四季について

お客様に生地をご覧いただく際に、必ず訊くことがあります。 それは「着る時期はいつ頃を想定されていますか?」また「夏物・冬物どちらをお求めですか?」というもの。

後者の質問は、季節の変わり目の時期にオーダーいただく際に訊くことが多くあります。 注文品である為仕立て上がりまでお日にちをいただくので、その方が冬物を欲しいと思っていても2~3月にオーダーされると、仕立て上がりの頃には暖かくなり、冬物は着れなくなってしまいます。

その為必ず伺うようにしているのですが、「オールシーズン着られるものがいいです。」と言われることが非常に多くあります。

その都度同じようにお答えしているのですが、 四季があり夏と冬の気温差が30℃にもなる日本において「オールシーズン着られる」というものはすなわち、「夏着ると暑く、冬着ると寒い」衣服に他なりません。

しかしながら既製服のスーツ販売店や廉価なオーダースーツ店などにおいて、「この生地・このスーツはオールシーズン着られるものです。」といって販売しているケースは多々あります。

クールビズが完全に定着し、1年の半分は上着を着ずに過ごすことが一般化した日本のビジネスマンに「夏物」のスーツを販売することは至難の業となり、

夏以外も、なんなら冬も着られる≒オールシーズン着られる、というセールストークをせざるを得ないことは想像に難くありません。

私はスーツ屋、そしてアパレル業界からも離れ一般企業でビジネスマンをしていた時期が4年ほどあるのですが、周りの同僚たちは皆クールビズ期間(5/1~9/30)にはそれまでのスーツから上着を脱ぎ、ネクタイを外してパンツとシャツのみのスタイルになっていました。

つまり「オールシーズン着られる」スーツを、夏はパンツだけ履いているのです。

しかし、いくら上着を脱いだからといって、冬場にも履いていたそのパンツを夏場に履くのは、蒸れるのではないのか?あるいは、夏場に履いているそのパンツを冬場にも履いているが、足が寒くないのだろうか?(恐らく中にパッチを履くのでしょう)疑問に思ったことを覚えています。

さらに電車通勤をしていると、夏場はことさら冷房が強くされておりオフィスの冷房もあいまってシャツだけでは寒いくらいなので、結局私は夏物のスーツでジャケットも着て過ごしていました。

前述したように日本には四季があり、本来はその季節ごとの装いをするのが粋なことのはずです。

またその方のオフィス事情や通勤スタイルなどによっても最適な生地は違い、それは決して「オールシーズン」という言葉で括れるものではないはずです。

弊店では、季節ごとの多種多様な生地を取りそろえています。

丁寧なカウンセリングによってその中からその方が本当に必要としているのはどの時期にどんなシーンで着るものなのかをあぶり出し、最適なものをご提案いたします。

細かいことを訊いてくるなぁ、と思われるかもしれませんがご容赦ください。

安心してお任せいただければ幸いでございます。